日本文学
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特集・中世文学における言葉とイメージの連環
心敬の句表現
――「青し」の系譜から――
伊藤 伸江
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2017 年 66 巻 7 号 p. 32-43

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抄録

心敬の表現技法の大きな特徴として、「青し」という言葉の使用があげられる。本稿では、心敬の自注のある発句から、この「青し」という表現を考察した。「青し」が和歌の制詞の一つであることから、制詞の歴史的な使用状況を押さえ、正徹が試みた制詞表現の使用が心敬に影響したことがわかった。さらに、花園院歌に見られるような京極派詠風をさらにすすめ、冷泉派歌学の影響下、擬人化した風・水により眼前の景を包みこむ形で表現する心敬の詠法が自注から読み取れた。

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