日本語教育
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調査報告
慣習性が学習者の間接発話行為の理解に与える影響
――JFL中国人上級日本語学習者を対象として――
張 麗
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2017 年 167 巻 p. 31-45

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抄録

 本研究は,1)慣習性が学習者の間接発話行為の理解に与える影響,2)慣習的間接発話行為と非慣習的間接発話行為とに分けて,理解に困難が生じる原因を検討した。本研究では,JFL中国人上級日本語学習者24名を対象に,語用論聴解テストを用いて慣習性が理解の正確さと速さに与える影響を調査した。その結果,慣習的間接不同意発話行為は非慣習的間接不同意発話行為より理解されやすく,また反応時間が短いことがわかった。また,学習者の理解に困難が生じる原因を明らかにするため,語用論聴解テスト後に刺激再生法を用いて,学習者の理解プロセスを調べた。その結果,慣習的間接不同意発話行為が理解困難な原因は,「キーワード」が利用できないことであるが,非慣習的間接不同意発話行為が理解困難な原因は,「パラ言語情報」,「談話状況」,「背景知識」,「話者の意図」といった文脈情報が把握できていないことが推察された。

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© 2017 公益社団法人 日本語教育学会
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