本研究では,周辺視野を活用した目視検査において検査環境の違いによる照明の明るさの相違が欠点検出に及ぼす影響について検討するため,照明の照度と欠点の配置,および欠点の特徴(輝度コントラストと大きさ)を変動要因とする実験を考案し,これらが周辺視野での欠点検出に及ぼす影響について実験的に評価した.その結果,欠点検出率は照明の照度が0 lx程度だと低くなり,1500~6000 lx間であれば同程度に高くなることが明らかになった.さらに,この傾向は欠点の配置や先行研究で提案されている欠点自体の視認性を評価する指標である欠点の面光度によっても異なることがわかった.以上のことから,実際の目視検査工程で精度の高い目視検査を実現するためには,検査で活用する視野(一度の注視で検査する範囲)と欠点の面光度に合わせて照明の照度が低くならないように適切にコントロールすることの必要性が示された.