ヨーロッパでは,各国がその国の言語教育政策に沿って日本語教育を実践している。したがって,ヨーロッパにおいて日本語教育がこれまでに構築してきたことを整理するには,ヨーロッパ各国をつなぐ横軸となる視点が必要である。そこで本稿では,2001 年にヨーロッパ評議会が公開したCommon European Framework of Reference for Languages: Learning, teaching, assessment(以降,CEFR)を横軸に据える。まず,横軸となるCEFRの理念と言語教育観を概括する。次に,ヨーロッパにおける日本語教育ではどのようにCEFR が受容され,日本語教育の実践に参照されることで浸透していったのかを,公的機関の動向と日本語教師の実践からまとめる。最後に,CEFR の浸透が日本語教育にもたらした意義と,今後の日本語教育へ示唆する点を2020 年に出版されたCEFR 補遺版も絡め考察する。