2021 年 178 巻 p. 36-50
本報告では「日本語教育の推進に関する法律」の公布,施行に先行する形で地域日本語教育の体制づくりに取り組んできた豊田市の事例を紹介する。豊田市は最低限の日本語能力を習得するための日本語教育の機会を提供することと,わが国に関する基礎的知識を身につけるための導入教育を行うことが地方公共団体の責務であるという方針を定め,その方針に基づいて豊田市国際化推進計画を策定し,その計画に沿って「とよた日本語学習支援システム」の構築,運営,「導入教育」の仕組みづくりに取り組んできた。報告の最後では,地域日本語教育の構築,運営に際しては,地域の状況を把握するための調査及び理念を具体化するための持続的な対話が重要であることを提言する。