中国語を母語とする日本語学習者による「ている」「ていた」の「動作の持続」「結果の状態」用法の習得状況を調査した。中国の大学で日本語を専攻する180名をSPOTで下位・中位・上位群に分け,多肢選択式課題を実施した結果,「動作の持続」については下位群から高い正答率が確認された。また,「ている」が「ていた」より有意に正答率が高かった。一方,「結果の状態」では,習熟度に関わらず正答率が低く,習得の困難さが確認された。「結果の状態」においては,学習者の母語で対応する動詞が,持続を表すアスペクトマーカーと共起できるか否かによって正答率に開きが見られた。本研究は,無テンス言語である中国語を母語とする日本語学習者による「ている」「ていた」の習得過程を明らかにし,アスペクトマーカーの共起可否という母語の特徴が,「ている」「ていた」の「結果の状態」の習得難易度を説明する際に有効であることを示した点で意義がある。