2021 年 180 巻 p. 17-32
近年,留学生に対する文章執筆支援の新しい形態として,授業外で書くことを支援するライティングセンターへの関心が高まっている。本研究の目的は,ライティングセンターのチューターがどのように留学生の文章執筆支援を行っているか,留学生はチューターの支援を通してどのような学びや気づきを得ているかを明らかにすることである。チューター3名と留学生(大学院生)3名に半構造化インタビューを実施し,逐語録を修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析した。その結果,【信頼関係の構築】,【待つ姿勢】,【気づきを促す工夫】といった概念がチューターにとっての《支援の成功の鍵》につながることが示唆された。また,留学生は,チューターとの対話を通して,【自身の思考への気づき】や【考えているのに書いていないことの気づき】を得ており,ライティングセンターの継続的な利用に至るまでに《学び方の学びほぐし》が起きていることが示された。