日本語の研究
Online ISSN : 2189-5732
Print ISSN : 1349-5119
小特集:越境する日本語研究
古代和歌の表現論のプログラム
多門 靖容
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 14 巻 2 号 p. 1-17

詳細
抄録

古代和歌に、連体歌、序歌、倒置歌の三つの世界を構成し、それぞれの世界の課題と三つの世界の関与を論じた。まず連体歌による事態の時空間飛躍を考察し、萬葉では時空間が飛躍しない歌が多いが、飛躍がある場合の、或るケースに関する「浅田予想」が妥当であることを論じた。また飛躍がある場合の、飛躍の偏りも指摘した。次に序歌について、従来、序歌の典型とされてきたものをAタイプとし、この他にBおよびCタイプがあることを述べ、3タイプを類別する必要を論じた。倒置歌については述部用言の特徴に触れた。三つの世界の繋がりを述べれば、連体歌は本論で提案する序歌Aタイプと類似し、Aタイプは倒置歌と強く関与している。以上の考察はすべて歌の時系展開に沿った享受を前提に意味を持つ。

著者関連情報
© 2018 日本語学会
次の記事
feedback
Top