本稿では,「xはPつもりだ」の三つの用法(意志,思い込み,仮想)の成立条件を考察し,「つもりだ」の意味を明らかにする。具体的には,埋め込み節述語の意味や形式に基づいた従来の〈意志〉と〈思い込み〉の成立条件がPの事態としてのあり方から捉え直されるべきであること,xとPの間にはxがPを意志的行為によって引き起こすという責任関係が成立していることを示す。また,主に従属節の用法である〈仮想〉は,主節がPという仮定的状況を想定した上でのxによる意志的行為でなければならないことを指摘する。その上で,①「つもりだ」の意味は,xの意志的行為を前提とした上でのxのPに対する認識の言明であること,②Pとxの意志的行為の関係づけによって「xはPつもりだ」には二種類の意味的特徴が認められることを明らかにする。