日本語の研究
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宮古語久松方言の活用パターンによる動詞分類
──不規則動詞を中心に──
陶 天龍
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2023 年 19 巻 2 号 p. 181-197

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抄録

宮古語諸方言においては,規則動詞は2種類あるが,不規則動詞の認定は方言ごとに異なり,規則動詞と比べて不規則動詞がどのような特殊な点を持ちうるかについての記述は見られない。また,複数の語幹を持つことが不規則動詞を認定するための1つの基準になりうるかは,研究によって異なる。そして,不規則動詞の認定に大きくかかわる語幹・(非)拡張語幹・(非)拡張形の従来の定義,および活用形の構造の従来の分析を久松方言に適用すると,いくつか不都合の点が生じる。

本稿では,久松方言の1次データを用いて,語幹・(非)拡張語幹・(非)拡張形を再定義し,動詞活用形の構造を「[[①非拡張語幹(-②語幹拡張辞)](+③形態音韻規則)]-④屈折接辞」と分析する。そして,規則動詞における①から④の条件の規則性を定め,少なくとも1つの条件に例外がある動詞を不規則動詞とすることを主張する。

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