副詞「やはり」は「やはり」「やっぱり」「やっぱし」「やっぱ」の4つの形式を持ち,いずれかの形式に統合されることなく母語話者の会話で並行して用いられている。この実態について出現数に関する調査報告は詳細になされているが,使用した人数に関する検証は十分ではない。そこで,本稿ではCEJCを用い,副詞「やはり」を使用した人数に焦点をあてて使用実態を調査した。その結果,次の3点が観察された。①「やっぱり」は使用数だけでなく,使用した人数も対象の8割で最も多い。「やっぱ」は若い人のみでなく全世代で用いられている。②副詞「やはり」の4形式のうち1形式のみを用いている人は全世代にわたり4割強存在する。③「やっぱり」と「やっぱ」を併用した母語話者のデータでは,一語文は「やっぱり」,節頭は「やっぱ」の出現が有意に多い。無核型の「やっぱ」は「予期した通り」で,頭高型の「やっぱ」は「形式・内容を選択途中」での出現が多い。