日本語の研究
Online ISSN : 2189-5732
Print ISSN : 1349-5119
19 巻, 3 号
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  • ──「やっぱ」はやはり「やっぱり」とは違うか──
    鈴木 英子
    2023 年19 巻3 号 p. 1-17
    発行日: 2023/12/01
    公開日: 2024/06/01
    ジャーナル フリー

    副詞「やはり」は「やはり」「やっぱり」「やっぱし」「やっぱ」の4つの形式を持ち,いずれかの形式に統合されることなく母語話者の会話で並行して用いられている。この実態について出現数に関する調査報告は詳細になされているが,使用した人数に関する検証は十分ではない。そこで,本稿ではCEJCを用い,副詞「やはり」を使用した人数に焦点をあてて使用実態を調査した。その結果,次の3点が観察された。①「やっぱり」は使用数だけでなく,使用した人数も対象の8割で最も多い。「やっぱ」は若い人のみでなく全世代で用いられている。②副詞「やはり」の4形式のうち1形式のみを用いている人は全世代にわたり4割強存在する。③「やっぱり」と「やっぱ」を併用した母語話者のデータでは,一語文は「やっぱり」,節頭は「やっぱ」の出現が有意に多い。無核型の「やっぱ」は「予期した通り」で,頭高型の「やっぱ」は「形式・内容を選択途中」での出現が多い。

〔書評〕
《資料・情報》
2020年・2021年における日本語学界の展望(3)
〔特別寄稿〕
  • ──大規模言語モデルによる分析──
    近藤 泰弘
    2023 年19 巻3 号 p. 105-118
    発行日: 2023/12/01
    公開日: 2024/06/01
    ジャーナル フリー

    ある和歌集の持つ「歌風」を統計的に調査するには、従来は、語彙の偏りや分布を中心に研究することが中心であった。しかし、近年の機械学習の発達によって、word2vecなどの単語埋め込みベクトルを用いて研究することが可能になった。本研究では、大規模言語モデルによる文埋め込みベクトルを主成分分析で次元圧縮することで、和歌の歌風の中核にある意味の体系を記述することができることを実証した。そして、『古今集』と『万葉集』とでは大きな差異があり、それが漢詩の影響によるものであることの可能性について述べた。

 
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