日本観光学会誌
Online ISSN : 2436-7133
Print ISSN : 1341-8270
コロナ禍におけるクルーズ船多角的活用の可能性 ─シンガポール港の宿泊療養活用の事例から─
糸澤 幸子
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ジャーナル オープンアクセス

2021 年 62 巻 p. 26-33

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抄録

本稿はコロナ禍におけるクルーズ船の多角的活用に着目した。新型コロナウイルスのパンデミック以降、世界 の300隻超のクルーズ船は一斉に運航を停止した。その後、一部の船社がクルーズ運航を再開したが、感染が発生 して運航停止となる船社や、感染拡大で運航中止になる船社が後を経たず、2021年 6 月時点において、殆どのク ルーズ船が稼働されないまま世界各港に係留されている。  2020年 4 月下旬、シンガポール政府の要請を受けたスタークルーズ社は、クルーズ船 2 隻を新型コロナウイル スに被患し、回復期にある外国人労働者の宿泊療養施設として活用を開始した。本研究は、シンガポール港の事 例および乗客のインタビュー調査を分析し、多角的に活用された経緯を持つクルーズ船が、コロナ禍という有事 に貢献する活用を明らかにし、我が国における応用可能性を示唆した。

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© 2021 日本観光学会
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