抄録
スギ(Cryptomeria japonica D.Don)の辺材および心材の炭化をいろいろな温度で行い,炭化生成物である木ガス,木タール,木酢液および炭化物の物質収支を調べた。木ガスの主成分は炭化温度600°Cまでの温度域で一酸化炭素と二酸化炭素,また600°C以上では水素とメタンであった。炭化温度400°C以上で木酢液と木タールの収率の合計はほぼ一定となり,各木酢液成分組成は互いに類似した。スギ材の炭化は300-600°Cでカルボニル基,オレフィン基およびラジカルを生成する熱分解を活発に起こしながら進行し,さらに600°C以上になると脱水素反応などによる芳香族多環構造を次第に形成することを,FT-IRおよびESRスペクトル測定結果などから推察した。炭化温度400°Cおよび800°Cで調製した炭化物の気相吸着実験結果の比較から,炭化温度400°Cの炭化物でアンモニア吸着が速く,また炭化温度800°Cの炭化物で硫化水素吸着が速いことがわかった。