日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
一般論文
酸化亜鉛/酸化クロム系複酸化物触媒におけるエチルベンゼンの脱水素反応
—触媒調製法が及ぼす触媒活性への影響—
宮越 昭彦角田 範義上野 晃史市川 勝
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2000 年 2000 巻 2 号 p. 97-105

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抄録
2種類の異なる共沈殿法で酸化亜鉛(II),酸化クロム(III)系触媒を調製し,得られた触媒の構造特性とエチルベンゼンの脱水素反応活性を調べた。第一の調製法は亜鉛(II)とクロム(III)の混合硝酸塩水溶液を母液として,母液中に沈殿剤である炭酸カリウム水溶液を滴下させて共沈殿させる方法(ASP法)であり,第二の調製法はASP法とは逆に炭酸カリウム水溶液中に亜鉛とクロムの混合硝酸塩水溶液を滴下させて共沈殿させる方法(BSP法)である。各々得られた沈殿物は同じ工程で処理され,773K,空気中で焼成して触媒とした。エチルベンゼンの脱水素反応に関してBSP法で調製した触媒(BSP触媒)はASP法で調製された触媒(ASP触媒)に比べて高活性·高選択性であることがわかった。XRDとXPSによる触媒の分析結果からBSP触媒は均一なスピネル相(ZnCr2O4)と酸化亜鉛からなる安定な触媒構造であり,触媒表面ではCr3+とZn2+の電荷状態であることが確認された。一方,ASP触媒はBSP触媒に比べて不安定なスピネル構造であり,触媒表面にはCr3+とZn2+のほか,CrVIも検出された。CrVIはカリウムとクロムのオキソ酸塩に由来し,このCrVI塩は触媒構造の不安定化や脱水素反応の活性サイト発現を抑制する触媒毒として触媒性能に影響を与えるものと考えられる。
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