2000 年 2000 巻 8 号 p. 547-551
硝酸塩による地下水汚染が世界各地で注目を集めつつある。我が国でも,1999年2月,環境庁より硝酸性および亜硝酸性窒素の規制値10mg/L以下が告示され,緊急の対応が迫られている。本研究では,飲料水レベルの微量の硝酸性および亜硝酸性窒素の湿式還元分解の触媒研究を行い,室温,常圧水素という温和な条件で処理できることを明らかにした。硝酸塩には銅過剰域の二元系担持触媒,銅-パラジウム-炭素,が著効を示したが,亜硝酸塩には二元系よりも単一成分のパラジウム-炭素がはるかに有効であった。したがって,二元系の銅-パラジウム-炭素では硝酸塩の分解において中間体の亜硝酸塩が反応液中に蓄積するという不都合があるが,銅成分と孤立したパラジウムの存在では亜硝酸塩を容易に分解できることがわかった。粉末X線により硝酸塩分解の活性種としてCu3Pdが示唆され,触媒の活性と金属成分の担持状態を考察した。
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