日本化学会誌(化学と工業化学)
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一般論文
アルミン酸ニッケルの担体効果を用いた高性能パラジウム三元触媒の開発
山本 伸司松下 健次郎
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2000 年 2000 巻 8 号 p. 553-560

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抄録

三元触媒の活性成分として白金とロジウムが一般的に使用されてきたが,近年,貴金属価格の低減を目的としロジウムを使わない触媒が研究されている。このため,著者らはパラジウム単独三元触媒の開発を試みた。アルミナにパラジウムを担持した触媒に種々の遷移金属酸化物を添加することによって性能改善を試み,特に,NiOが著しい改善効果を示すことを見いだした。この事実を基にさまざまな遷移金属のアルミン酸塩を合成し,パラジウムを担持したところ,特に,ニッケルアルミン酸塩に担持した触媒は,アルミナ担持パラジウム触媒よりも,Light-off活性や三元活性に優れることがわかった。ニッケルアルミン酸塩は,NiOがγ-Al2O3に固溶したスピネル相であるが,パラジウムの担体としての性質は,Ni/2Al原子比(x)や焼成温度に依存しており,x=0.5,800°Cで焼成したニッケルアルミン酸塩がパラジウムの担体としては最適であることを明らかにした。この触媒が,エンジンダイナモやシャシダイナモを用いた試験でも三元触媒として高い浄化性能を示すことを確認した。

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© 2000 The Chemical Society of Japan
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