日本化学会誌(化学と工業化学)
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技術論文
α-アルミン酸リチウム繊維の合成と溶融炭酸塩中での安定性
瀧澤 孝一萩原 明房
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2002 年 2002 巻 1 号 p. 97-102

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抄録
溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)では,電解質保持板の補強材料としてアルミナ(Al2O3)繊維が用いられているが,経時的に腐食劣化することが知られている.電解質保持板構成材料であるアルミン酸リチウム(LiAlO2)については,長期運転でも劣化が少ないとされるα相が注目されている.そこで補強材についてもα-アルミン酸リチウムを適用することを試みた.出発物質としてγ相のアルミナ繊維を用いて炭酸リチウムとの反応を検討した結果,600–650 °Cの温度で二酸化炭素雰囲気下において繊維形状を保った良好なα-アルミン酸リチウム繊維を合成することができた.さらにこの繊維の溶融炭酸塩中における耐食性をアルミナ繊維と比較検討した.電解質保持板を模擬したα-アルミン酸リチウム粉末と繊維の混合物は,溶融炭酸塩中でもアルミナ繊維と同等の耐食性を示した.また結晶構造はα相を維持していた.これらの結果から,長期耐久性に優れた“α-アルミン酸リチウム電解質保持板”への可能性を示すことができた.
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© 2002 The Chemical Society of Japan
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