日本化学会誌(化学と工業化学)
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Print ISSN : 0369-4577
一般論文
p-ベンゾキノン誘導体の中間相
松谷 寛佐多 晋一杉浦 三千夫
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2002 年 2002 巻 3 号 p. 309-312

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抄録

ベンゼン誘導体1の報告以降,二次元円盤状の分子が示すディスコチック液晶に関する研究が盛んに行われている.Chandrasekharら,およびLillyaらの研究グループは,それぞれ独立に2,5-シクロヘキサジエン-1,4-ジオン(p-ベンゾキノン)誘導体2の不安定なカラムナー相について報告している.著者らは,p-ベンゾキノン誘導体が示す酸化-還元等の機能性をディスコチック液晶に取り入れることにより,新たな機能材料の創製が可能となると考えた.そこで,エステル誘導体2に対して,種々のp-ベンゾキノン誘導体457を合成し,これらの化合物が示す中間相について調べた.安息香酸エステル4は,芳香環とコアが同一平面になっていなかったためか,中間相は確認できなかった.エーテル5bのDSC測定を行ったところ,32 °Cと55 °Cに吸熱ピークが観測された.しかし,液晶相と思われる明確な組織は確認できなかった.一方,アミド誘導体7aを等方性液体から冷却すると樹枝状組織が観測された.この結果は7aがモノトロピー的なColh相をとることを示唆している.

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© 2002 The Chemical Society of Japan
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