工業化学雑誌
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アンモニウムチタニルサルフェート結晶析出過程における不純物の混入
滝 貞男
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1958 年 61 巻 8 号 p. 970-972

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抄録

アンモニウムチタニルサルフェートを熱分解してえられる酸化チタンは軽質であり, べルヌーイ法によるルチル単結晶合成原料にもっとも適している。この酸化チタンはまた軽質性のほかに,きわめて高純度であることも要求されるので,不純物イオンを含んだ溶液からアンモニウムチタニルサルフェート結晶を析出させ,不純物がどの程度混入するかを検討した。不純物の結晶に含まれ易さは大体Na+,K+,Mn2+,Fe2+,Mg2+,Fe3+,V4+,Al3+の順になっており, Na+ がK+より混入し易く,一水化物にFe3+が入り易いという異常性が認められたが,これはイオン半径の大ぎさの順にほぼ一致しており,これらイオンが主としてNH4+の位置に入っていることを裏書している。もっとも結晶に入り易いNa+の場合に結晶中の不純物は母液のそれの約1/4に,少ないAl3+では約1/800になっており,晶出過程において結晶の純度が向上している。一水化物は二水化物にくらべ,いくぶん不純物を多く含む傾向にある。

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