ピレン-1-スルホン酸(I) はピレン(II) の低温スルホン化でつくられるが, われわれはIIをa) 硫酸(III) と硫酸ナトリウム(IV) の等モル混合物, またはb ) 硫酸水素ナトリウム(V) と150℃以上に加熱, そののち熱湯抽出という簡単な操作でIを好収率で得た。IIに対してIIIおよびIV各3モル比,180℃,6時間または150℃,11時間でIのナトリウム塩(ほとんど純粋)の収率100%,各2モル比のときは180℃,6時間で収率93%。硫酸がIVに対し等モルまたはそれ以下のときは反応条件を強めてもIのみが生成するが,等モルより多いときは,わずか過剰でもジスルホン酸の副生が認められる。bの場合は対応するa の場合よりも収率がやや低い。たとえばI に対してVを5.6モル比(IIとIII各2.8モル比に相当),180℃,6時間でIの塩の収率80%。冷却下にクロルスルホン酸を用い溶媒中で長時間かきまぜる文献の方法にくらべて,収率,反応時間,操作の点ですぐれていると考えうる。
この記事は最新の被引用情報を取得できません。