工業化学雑誌
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石炭の酸素酸化生成物を一部脱炭酸後酸化してフタル酸類を製造する方法
神谷 佳男
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1959 年 62 巻 7 号 p. 942-945

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抄録

石炭を酸素酸化して生成したべンゼンカルボン酸類を主成分とする芳香族酸を加熱して一部脱炭酸を行い,フタル酸類を主成分とする芳香族酸に転化させた後,これを再び酸素酸化して,フタル酸類に富む生成物を得ることを目的として,種々の反応条件について実験を行い,反応生成物中のo-フタル酸,イソフタル酸,テレフタル酸,トリメシン酸,安息香酸を分離定量した。酸化処理によって芳香族酸の性質は著しく変化して水不溶性のものが減少し,水可溶性のものが増加するが, フタル酸類の一部は酸化分解し, o-フタル酸は少量が新たに生成する。炭酸ソーダ水溶液中の反応では, 酸化生成物中に占めるフタル酸類の割合は,酸化前にくらべてあまり変化しない。炭酸カリ水溶液中の反応では,フタル酸類が比較的安定に保たれるために,生成物中のフタル酸類の含量はかなり高くなる。生成酸のメチルエステルをクロマトグラフ法により分離した成分からは数種類の純粋結晶が分離された。

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