1961 年 64 巻 5 号 p. 898-902
トルエンの核水素化および水素化脱メチル反応にたいする担体付ニッケル触媒の種類およびニッケル濃度と接触能との関係を明らかにしようとして実験を行なった。反応はすべて常圧下流通法で行ない,反応温度として核水素化には200℃,水素化脱メチルには460℃ を選び,触媒の担体物質としてはおもにシリカとアルミナとをとりあげた。その結果,核水素化には担体の種類によって接触能にあまり大きな差はないのに,水素化脱メチルに対しては,アルミナ担体の触媒はシリカ担体の触媒より一般に活性が小さいことがわかった。しかし,このアルミナに予め酸化モリブデンを少量添加しておくと,シリカ担体の場合と同様に水素化脱メチル能を強く発現してくる。一方,ニッケル含有量と接触能との関係を調べた結果,核水素化ではニッケル含有量が5~6%(wt)付近に急激な活性の変動があるのに対し,水素化脱メチルではニッケル含有量にほぼ比例して単調な変化をするのみであった。
以上の実験結果を担体物質とニッケルとの結合状態と接触能との関連という立場から考察,検討を加えた。
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