工業化学雑誌
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分岐状シリコーンの溶液粘度
山本 宏義
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1961 年 64 巻 5 号 p. 912-915

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抄録

粘度は測定が割合簡単でしかもいろいろ興味めある事実がそれから帰納されるので, 古くから各種の高分子化学の研究に広く用いられてきた。特にシリコーンにおいては,粘度の温度変化が小さいことが,最大の長所の一つに挙げられており,最も大切な基礎数値の一つとされている。
更に注目すべきことは,シリコーンのような高分子が広い温度範囲で液態を示すということは,その他の高分子にみられない事実であって, この意味で純化学的見地からみても甚だ魅力のある対象と考えられる。すなわち高分子の希釈溶液の粘度にういては多数の研究があり,たとえば固有粘度を測定して分子量や分子の形を推定することなどが広く行なわれているが, 逆に高分子物質に溶媒を少量添加した場合の研究は適当な試料がないために, ほとんど行なわれていない。これに対してシリコーンは分子量数十万, 原子数にして数千に達する高分子に至るまでよく液状を保つから, 高濃度における高分子の挙動を研究する絶好の対象物である。
そこで本報告では先ず1 としてシリコーン自体の粘度から, これに溶媒を加えて行き濃度零, すなわち溶媒自体の粘度に至るまでの全領域の粘度を測定し,粘度の濃度変化がシロキサンの分岐といかなる関係にあるかを研究した。次にシリコーンは希望する分子量でかつ希望する分岐度を持った試料を比較的容易に合成できる便利があるので, 2 には分岐度が1の試料程多くない場合について分岐の影響を知るため,分子量が等しく分岐の数が異なった4コの試料を合成し, その希薄溶液粘度およびそれの温度変化を研究した。

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