工業化学雑誌
Online ISSN : 2185-0860
Print ISSN : 0023-2734
ISSN-L : 0023-2734
1,2-シクロプロパンジカルボン酸およびそのメチル置換体からのポリアミドおよびポリエステル
庄野 達哉小田 良平奥 彬
著者情報
ジャーナル フリー

1962 年 65 巻 5 号 p. 658-661

詳細
抄録

1,2-シクロプロパンジカルボン酸およびその同族体はMcCoy[J.Am.Chem.Soc.80,6568(1958)]らの方法によってα,β-不飽和カルボン酸エステルとα-ハロカルボン酸エステルの縮合によって合成した。こうして得られた酸はシス,トランスの混合物である。この異性体を分離するためにはこの異性体混合物を塩化チオニルで処理することが非常に簡単な分離法であることを見出した。この処理によってシス異性体は酸無水物に,一方トランス異性体は酸塩化物になる。これらは分別蒸留により簡単に分離できる。つぎに分離されたトランス,およびシス-シクロプロパンジカルボン酸を若干のジアミンおよび2価フェノールと縮合させた。そして得られたポリアミド,ポリエステルの性質を検討した。縮合法としては界面,溶液および溶融法を用いたが界面縮合法がもっとも良好であった。得られたポリエステルは一般に脆いがこれに対してポリアミドは強靱で紡糸することができた。特に3-メチル-1,2-シクロプロパンジカルボン酸とピペラジンからのポリアミドはもっとも強靱で,その極限粘度は1.38であった。

著者関連情報

この記事は最新の被引用情報を取得できません。

© 社団法人 日本化学会
前の記事 次の記事
feedback
Top