工業化学雑誌
Online ISSN : 2185-0860
Print ISSN : 0023-2734
ISSN-L : 0023-2734
熱剛直性フェノール系樹脂の合成
熊野谿 従赤土 一郎桑田 勉
著者情報
ジャーナル フリー

1962 年 65 巻 5 号 p. 676-681

詳細
抄録

熱時にも剛直性を失わない熱剛直性フェノール樹脂の合成に先だち,硬化反応の反応性の点で特徴のある3種のフェノールノボラックにヘキサ5%(重量)を添加して熱ロール掛けを行なったのち,300kg/cm2の加圧下に160℃で0.5,2,4時間成形した試験片の剛性率の温度変化を調べ,速硬化性フェノールノボラック樹脂は酸性触媒で得られるものに比べ,とくに剛性率の温度変化が大きく,熱剛直性の小さい硬化樹脂を与えることを認めた。また酸性触媒で普通のフェノールノボラックをフェノールあるいは高乾m-クレゾール酸から合成する際に,p-ベンゾキノンを5あるいは10%(重量)添加後縮合を行なって得られるキノン変性フェノールノボラック樹脂は, ヘキサとの反応により広い温度範囲にわたって剛性率が大きく,かつ高い転移点を有し,剛性率の温度変化の小さい硬化樹脂を生じる。とくにキノン(10%)-m-クレゾール酸の系ではヘキサの添加量5%でも, 普通のフェノールノボラック樹脂ではヘキサ10%を添加した際と同じ程度の剛性率の温度依存性を示し,顕著な熱剛直性を示している。

著者関連情報

この記事は最新の被引用情報を取得できません。

© 社団法人 日本化学会
前の記事 次の記事
feedback
Top