1962 年 65 巻 5 号 p. 707-711
β-プロピオラクトンのアルカリ触媒による重合を行ない,重合条件と生成ポリマーの分子量との関係を検討した。従来β-プロピオラクトンはアルカリ触媒では高重合度のポリマーは得られていないが,無極性溶媒中で低モノマー濃度,低触媒濃度で重合を行なうと,カセイカリ触媒によって高分子量のポリエステル型のポリマーが得られた。触媒としてアルカリ金属の水酸化物,炭酸塩,酢酸塩を用いると,重合速度は金属のアルカリ性が強く酸性の弱い酸の塩ほど大であった。しかし生成ポリマーの重合度については重合速度のように簡単な関係は見出されなかった。比較のため塩化スズ(IV)など酸性触媒を用いて重合を行なったが,生成ポリマーの構造はアルカリ触媒で得たポリマーと若干差があることが認められた。
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