工業化学雑誌
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塩化アンモニウムを副生成物とするピロリン酸四ナトリウム合成法の基礎的研究
小林 悦郎
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1962 年 65 巻 5 号 p. 771-777

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抄録

塩化アンモニウムを副生成物とするピロリン酸四ナトリウムの新製法を考え,これに関連する基礎数値を測定した。製法を反応式に要約すればつぎのとおりである。
2H3PO4+Na2CO3→2NaH2PO4+CO2+H2O(1)
2NaH2PO4→Na2H2P2O7+H2O(190~235℃)(2)
Na2H2P2O7+2NH3→Na2(NH4)2P2O7(pH≈9.1Solu.)(3)
(水でスラリー)(incongruentsolution)〓(4)
(4)式の反応は一応〓の互変二対塩系の一部に入るから,平衡状態図に表わすことが妥当と認められる(NH4)4P2O7-Na4P2O7-H2O系の一部,Na4P2O7-NaCl-H2O系,Na-NH4-Cl-P2O7-H2O系の一部を調べた結果,ピロリン酸四ナトリウム10水和物の結晶として85~70%を析出させ,塩化アンモニウムを溶液に残すことが明らかになった。
従来のピロリン酸四ナトリウムの製法にくらべ,アルカリ使用量の1/2を最も廉価な工業塩に換え,その塩素も塩化アンモニウムとして回収することができる。

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