1965 年 68 巻 10 号 p. 1827-1831
担体付触媒においては一般に担体物質の種類いかんによってその触媒活性が異なることが多い。本報では担体物質がシリカとアルミナと異なる場合,担体付銅触媒の活性の相異の原因を触媒の水素による還元性状,触媒中酸化銅の希硝酸への溶解抽出性状などの相異から検討した。その結果,銅-アルミナ触媒の方が銅-シリカ触媒より水素による還元が困難であり,また触媒中酸化銅が希硝酸に溶解抽出され難い。一方エチレンの水素化反応に対する触媒活性は,後者の場合の方が大きく,反応の活性化エネルギーおよび反応速度の圧力依存性も両者で若干相異した。これらの実験結果から,担体付銅触媒中には担体物質と化学的に結合した銅と遊離の状態にある銅の2種類があることがわかった。一般にアルミナ担体は銅と結合し易く,その結果より不活性な触媒を形成する傾向がある。これに比してシリカ担体はこの傾向が小さい。
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