工業化学雑誌
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トルエンの接触水素化脱メチル反応の速度論的検討
野崎 文男渡辺 孝森川 清
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1965 年 68 巻 10 号 p. 1832-1835

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抄録

5%(wt)Ni-SiO 2 触媒を使用して反応温度440℃,反応圧力1~16atm,水素対トルエンの供給モル比1~10で流通法によりトルエンの水素化脱メチル反応の速度を測定した。そして実験データを解析し反応速度表式および反応模型の推定を試みた。そして, つぎの結果を得た。すなわち反応速度の圧力依存性は特異なものであって, 2atm付近までは圧力とともに反応速度は増大し,それ以上は圧力が増大しても反応速度はほとんど一定値を示した。一方,常圧においてトルエンと水素の供給モル比を変えて実験した結果から, 反応速度γ は次式で整理されることがわかった。
γ=k'PT0.2・PH2-0.96・PB-0.5 γ=
また反応模型として, トルエンのメチル基がまず脱水素し, この脱水素したメチル基が触媒表面に吸着し, このように解離吸着したC6H5・CHxと別の吸着点に解離吸着した水素(または分子状の水素)との表面反応が律速過程であると推論された。しかしトルエンのメチル基がどの程度脱水素されて反応に与かるのかはまだ明らかでない。

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