1965 年 68 巻 10 号 p. 1835-1838
本報は担体付ニッケル触媒にアルカリ性物質を添加したとき,触媒の活性および選択性にどんな影響があるかに注目して研究したものであって,対象とした反応はトルエンの核水素化および水素化脱メチル,メチルシクロヘキサンの脱水素および水素化分解,エタンの水素化分解,プロピレンの水素化などの諸反応である。その結果,一般にアルカリを添加するとC-C結合の分解能が大きく低下するのにたいして,C-C結合の分解を含まない反応にたいする接触能には影響が少ないことがわかった。またトルエンの核水素化反応においては触媒中ニッケル濃度の大小によりアルカリ添加の影響が著しく異なること,およびメチルシクロヘキサンの場合には,アルカリ添加の有無により反応の選択性に影響をおよぼし,アルカリ添加によりC-C結合の分解が抑えられて,脱水素反応にはほとんど影響のないことなどが明らかになった。
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