工業化学雑誌
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担体付酸化モリブデン触媒の形態と接触能の関係
助野 敏雄三村 政義野村 平典
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1965 年 68 巻 10 号 p. 1838-1841

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抄録

担体付モリブデン触媒中のモリブデン酸化物の化合形態を調べるため,まず担体物質としてアルミナ,シリカおよび活性白土を選び,モリブデン酸化物のアンモニア水による抽出性状と水素による還元性状を検討した。つぎにこれらの触媒をシクロヘキサンの脱水素反応に用いて,触媒の化合形態と活性との関係を調べた。
550℃ で水素還元すると,アルミナ担持酸化モリブデン(VI)(A)はMoO2(平均組成)まで還元が進むが,シリカ担持触媒(B)はMoO(平均組成)まで還元が進む。300℃ 以上に焼成した触媒をアンモニア水で抽出すると,A中の酸化モリブデンの一半は抽出されないが,B中のそれは大部分抽出される。シクロヘキサンの脱水素反応にたいする活性は,AはBと比較するとかなり小さい。
これらの事実を総合すると,既報の酸化ニッケルの場合と同様に,酸化モリブデンはアルミナゲル担体とは化合し易く,シリカゲル担体とは化合し難く,この差異が,両担持触媒の性状,活性の相違を招くものと推定した。なお活性白土は担体としてシリカに近い挙動を示した。

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