工業化学雑誌
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着色水晶の合成
国富 稔功刀 利夫山田 勝巳
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1965 年 68 巻 10 号 p. 1862-1865

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抄録

人工水晶に着色性不純物を導入しその難易と着色分布を系統的に研究した。種々の着色性イオンをそれぞれ水酸化物,炭酸塩,酸化物などの異なる化合物を用いて添加して導入の難易を検討し,あわせておのおのの最適濃度範囲を決定した。その結果,不純物を水酸化物,炭酸塩として用いるのが適当であるが,それぞれの最適濃度範囲は異なることがわかった。
また溶媒では炭酸カリウム溶液が着色に効果的であった。着色はほぼ全元素について得られたが鉄,ニッケル,コバルト,マンガン,セレンでは着色は比較的容易であるがバナジン,銅では濃い着色が得がたい。クロム,チタンでは同一条件で銀内張り製オートクレーブで育成したところ相違する色調を得たことから腐食による材質イオンの混入が考えられる。着色分布は主としてZ面(0001)に観察され,均一な場合のほかに着色縞,色調や濃淡の変化などが見られた。また鉄では結晶方位によって全く色調の相違する現象が観察された。
結論として水晶構造への不純物イオンの導入はそのイオンの結晶学的適合性と最適濃度を育成期間中保持することが要求される。

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