工業化学雑誌
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アルキリデンシクロヘプタンの自動酸化の動力学的考察
三木 彦一斎藤 真澄井村 隆伏崎 弥三郎
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1965 年 68 巻 10 号 p. 1881-1885

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抄録

アルキリデンシクロヘプタンとして,メチレンシクロヘプタン,イソプロピリデンシクロヘプタンをえらび,種々の条件で自動酸化の反応速度を測定し,それより自動酸化の機構を動力学的に調べ,すでに行なった不飽和脂環炭化水素の自動酸化について得られた結果と比較し,分子構造の反応性におよぼす影響を考察した。
メチレンシクロヘプタン, イソプロピリデンシクロヘプタンは, α - ブロム酢酸エチルエステルおよびα - ブロムイソ酪酸エチルエステルとシクロヘプタノンをそれぞれ縮合させ,脱水,ケン化,熱分解を経て合成したものを使用し,装置ならびに反応条件はいままで行なった場合に準じた。酸化は50~75℃ の範囲で,酸素分圧は50~750mmHg,試料濃度を0.46~1.58mol/l,BPO濃度を試料1molあたり0~0.04mol,紫外線強度を32~100%の間で変化させて行なった。得られた反応生成物からこの自動酸化反応では,主として2の位置にそれぞれヒドロペルオキシド(HPO)が生成していることが明らかになった。そして,この生成量は酸化の初期では酸素の吸収量に比例することが認められた。酸化の速度はいずれの試料においてもBolland,Batemanらが提出したオレフィンのそれと一致する。これらの反応中心における水素引抜きのエネルギーはメチレンシクロヘプタンでは, 11kca/mol,イソプロピリデンシクロヘプタンの場合には9kcal/molであり,5員環化合物よりも小さいが,4,6員環化合物よりも大きいことがわかった。

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