1965 年 68 巻 10 号 p. 1896-1900
ショ糖脂肪酸モノエステルは,多重展開薄層クロマトグラフィーにより5個のスポットにわかれ,Rf値の小さいものから,M1,M2,M5となづけると,量的順位はM2>M1>M5>M3>M4であった。ショ糖モノパルミテート水溶液に酵母インベルターゼを作用させると,M2,M4,およびM5のみ,加水分解される。その際,M2の分解によって単生じる糖モノエステルが結晶状に得られ,元素分析および呈色試験から,グルコースモノパルミテートの異性体の一種と考えられる。また結晶性ショ糖ジエステル(D1)の部分エタノリシス生成物から少量のM 2 をともなったショ糖モノエステルM 1 を得た。M 1 の加水分解によって生じた単糖モノエステルの呈色反応, およびM 1 が酵母インベルターゼの作用をうけないことから,M1はフラクトース側に置換基を有するショ糖モノエステルと推定した中含量が。D1はショ糖ジエステル最も多く,M1およびM2の置換位置双方に置換基をもつショ糖ジエステルと考えられる。以上の結果とメチル化分析等によった他の研究者の結論を総合して, M 1 は6' , またM 2 は6 位置置換体と推定した。結晶性ジエステルD1は6 , 6'位置ジ置換体と考えられる。
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