工業化学雑誌
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キナクリドン・キノン誘導体の合成
永井 芳男西 久夫長谷川 日吉
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1965 年 68 巻 10 号 p. 1910-1914

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抄録

1)p-ベンゾキノンと5-メチルアントラニル酸を酢酸中で縮合させて2,5-ビス-(2-カルボキシ-4-メチルアニリノ)-1,4-ベンゾキノン(I)とし,これを熱濃硫酸またはポリリン酸中で閉環させ,2,9-ジメチル-キノ-[2,3-b]-アクリジン-6,7,13,14-(5H,12H)-テトロン(以下2,9-ジメチル・キナクリドン・キノン)(II)を合成した。この化合物の精製を目的として粗製品を水酸化カリウムと処理してモノカリウム塩(III)とし,ついでこれを酢酸と煮沸してIIを再生させ,硫酸閉環法では79.2%,リン酸閉環法では84.3%の収率(それぞれIからの通算収率)で純粋かつ鮮明な燈黄色結晶性粉末を得た。IIIは褐色結晶である。
また,IIを塩酸とスズで処理し,ロイコ・2,9-ジメチル・キナクリドン・キノン(IV)の青色粉末を得た。収率98.6%。
2)p-ベンゾキノンと4-クロルアントラニル酸を酢酸中縮合させ, 2,5-ビス-(2-カルボキシ-5-クロルアニリノ)-1,4-ンゾキノン(V)とし,これを熱濃硫酸または,ポリリン酸中で閉環させ,3,10-ジクロル-キノ-[2,3-b]-アクリジン-6,7,13,14-(5H,12H)-テトロン(以下3,10-ジクロル・キナクリドン・キノン)(VI)を合成した。この化合物の精製を目的として粗製品を水酸化カリウムと処理してモノカリウム塩(VII)とし,ついでこれを酢酸と煮沸してVIを再生させ,硫酸閉環法では82%,リン酸閉環法では78.5%の収率(それぞれVからの通算収率)で,純粋かつ鮮明な黄色結晶性粉末を得た。VIIは赤褐色結晶である。また,VIを塩酸とスズで処理し,ロイコ・3,10-ジクロル・キナクリドン・キノン(VIII)の紫青色粉末を得た。収率98.9%。番号を付した化合物はすべて文献未記載である。

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