工業化学雑誌
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塩化チタン(III)-トリエチルアルミニウム系触媒による3-メチルブテン-1の重合
新 祐治
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1965 年 68 巻 10 号 p. 1957-1963

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抄録

塩化チタン(III)-トリエチルアルミニウム系触媒によって,3-メチルブテン-1の重合を45~90℃ で検討した。同じ触媒によるエチレン,プロピレン重合と異なり,触媒成分のモル比(Al/Ti)が重合活性にいちじるしい影響を与え,モル比1.5付近で活性は最大となり,重合体の結晶性はモル比の大きいものほど低下する。このような特異性を考慮して,3-メチルブテン-1の重合機構をエチレン,プロピレンの重合機構と比較考察した。重合反応の見掛けの活性化エネルギーは,45~75℃ で約6kcal/molとなった。触媒にn-ブタノール,ジブチルエーテルなどの第3成分を少量添加すると,重合速度をいく分増大しうるが,プロピレン重合の場合と異なり,重合体のアイソタクチック度の増大は認められなかった。重合によって得た粉末重合体は比較的結晶化度も小さく,融点は240℃ 程度であるが,300℃ 以上で一度溶解すると結晶化度が上昇し,融点は290℃ 程度となる。しかし,この場合,結晶構造の変化は認められなかった。

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