工業化学雑誌
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断熱型比熱測定による反応速度の解析
長崎 誠三前園 明一市橋 正彦坂本 武照
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1966 年 69 巻 9 号 p. 1636-1639

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抄録

熱分解反応,熱重合反応などの活性化過程を解明するためには,速度論的な解析が必要である。最近,恒温測定にかわって,ただ1回の一定昇温速度の熱重量分析や示差熱分析によって,速度論的に解析することが試みられている。
断熱型の比熱測定法は,一般に平衡論的な熱分析に用いられてきたが,この測定方法を用いて,反応速度を解析する方法を新たに見出した。これにより,エポキシ樹脂の熱重合反応,規則格子合金の不規則→規則化反応,ガラス状態の再結晶化反応,およびシュウ酸カルシウム(CaC2O4・H2O)の脱水分解反応の,反応速度の解析を行なった。この方法は,熱重量分析や示差熱分析による方法に比して,より精度のある,包括的な解析法と考えられる。

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