工業化学雑誌
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新潟県赤谷鉱山産セピオライトの脱水
大塚 良平今井 直哉西川 元治
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1966 年 69 巻 9 号 p. 1677-1680

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抄録

新潟県赤谷鉱山から結晶度の高いα-セピオライトが著者らの1人(今井)によって発見された。本報には,まずこの試料の肉眼的および光学的性質,化学組成,X線粉末回折データを簡単に記述した。次に,このセピオライトの脱水の挙動を詳細に観察する目的で次のような実験を行なった。1
.熱分析(A)DTA,TGAおよびDTGAの同時測定(B)手動式熱天秤による測定
2.加熱試料(250,450,620,730および860℃各温度に各2時間保持)の構造変化の観察
この結果,本試料は4段階にわたり脱水し,とくに結合水は2段階にわたり不連続的に脱水することがわかった。この試料の結合水と構造水の量比は4:1.60ないし1.75であり,さらに脱水相の1/2単位胞が酸素原子32個を含むとして計算した構造式は(Si11.79Al0.12)12(Al0..02Fe3+0.23Fe2+0.16Mn2+0.56Mg6.99)7.96O32であることから,著者らはセピオライトの結晶構造に関しては,Nagy-BradleyモデルよりBrauner-Preisingerモデルの方がより妥当であると推定した。

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