工業化学雑誌
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多孔質ガラスおよびシリカゲルに吸着された水の室温~-90℃における示差熱分析
加藤 忠蔵綱島 豊
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1966 年 69 巻 9 号 p. 1690-1693

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抄録

多孔質ガラス,シリカゲルその他の固体物質に対する水の吸着現象に関しては種々の方法によって研究されているが,0℃以下のDTA法により研究したものは少ない。著者らはこれらの物質に対する水の吸着状態を,室温~-90℃の低温におけるDTA法により検討した。固体物質に水を加えた時,自由水による凍結・融解のピークが普通みられるが,多孔質ガラスやシリカゲルにおいてはこの他にもう一つのピークが現われた。低温赤外吸収および低温X線分析の結果とあわせ考えて,これらの二つのピークのうち高温側ピークは自由水の凍結・融解によるものであり,低温側ピークは毛管内にあって,固体表面近くに吸着された毛管内吸着水の氷Iへの相転移によるものであることを明らかにした。またこれらのピークより吸着水,非吸着水の分類,吸着水の相転移温度,転移熱の算出および吸着水の定量などが可能であることを見出した。たとえば多孔質ガラスにおいては,吸着水の相転移温度は-23℃,転移熱は19cal/gおよび最大吸着水量は14.5%であった。

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