工業化学雑誌
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ベントナイト-ポリビニルアルコール複合体の示差熱分析
佐藤 長英小山 陽造
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1966 年 69 巻 9 号 p. 1740-1743

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抄録

吸着物質の吸着状態の研究の一手段として示差熱分析法を利用できないものかを検討する目的で,ベントナイトに層間吸着されたポリビニルアルコール(PVA)の示差熱分析を試みた。ベントナイトは,ナトリウムモンモリロナイトを主成分とする豊順産の細粉を用い,PVAは市販1級品を用いた。示差熱分析装置は手動式のものを大気中および減圧8mmHgで用いた。X線回折図よりPVAを23%含む生成試料では2層のPVAの層間吸着が,またPVAを54%含むものでは3層以上の層間吸着が考えられる。
吸着PVAでは,PVAの融点と考えられる218℃の吸熱ピークが消失し,270℃付近の第1段の分解反応ピークはかなり高温側にずれ,さらに層間に残留した分解残分の酸化による発熱ピークが著しく高温側にずれる。このピークのずれの程度はいずれも,54%PVA試料よりも23%PVA試料において著しい。つまり2層までのものは,固体表面の酸素原子との水素結合でかなり強く表面に吸着されているが,3層以上のものでは吸着力がかなり弱まることを推定させる。

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