工業化学雑誌
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示差熱分析および熱天秤によるリシノール酸のアルカリ分解反応の検討
高岡 京泉沢 祐次外山 修之
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1966 年 69 巻 9 号 p. 1750-1754

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抄録

リシノール酸ナトリウムと水酸化ナトリウム,またはリシノール酸カリウムと水酸化カリウムを1:1に混合し,室温から350℃付近まで3~5℃/minで定速昇温して示差熱分析および熱天秤を測定し変化を追跡した。
i)アルカリ分解反応は130~300℃で起こるが,リシノール酸アルカリと水酸化アルカリの混合状態および測定試料セルの形により分解温度が大きく異なる。
ii)アルカリ滴定法による二塩基酸の生成率の測定では200℃以下では,中間生成物共存のため減量率からの計算値よりも小さいが,200℃以上では計算値と一致するため分解物はほとんどすぐ酸になると考えられ,230℃付近では95~98%が分解して酸となった。300℃以上では脱カルボキシル基反応が起こった。
iii)分解留出物は180~300℃間では主としてオクタノール-2が生成し,オクタノン-2の含有率は10%以下であった。150℃の分解残留物中には10-オキシデカン酸が生成していた。酸化銅(II)をリシノール酸アルカリに対し5%添加すると分解残留物はほとんど二塩基酸となり分解留出物中のオクタノン-2含有率も39%を示した。

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