工業化学雑誌
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エブリオメーターによる高分子数平均分子量の測定
武内 次夫天沼 清
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1966 年 69 巻 9 号 p. 1764-1767

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抄録

サーミスターを使用した双子型市販エブリオメーターを使用して,ポリエチレングリコール(PEG),ポリエチレン(PE)の分子量をベンゼン,トルエン,四塩化炭素を溶媒として測定し,装置の安定性,測定限界,試料濃度,溶媒効果について検討した。
純溶媒沸点において,ベンゼンは±2.5×10-5℃,トルエンは±1×10-4℃,四塩化炭素は±5×10-5℃のノイズを生じた。高分子溶液ではさらにノイズが大きくなり,測定誤差の一因となった。
PEGでは各溶媒とも,分子量9,000までは再現性のよい結果が得られた。一方,6,000以上の分子量では溶媒効果が現われ,溶媒によって異なった値を示した。また,末端基定量によって求めた分子量は,とくにベンゼンを溶媒としたときの分子量値とよく一致した。PEについては,分子量10,000のものを測定したが,溶媒により偏差3~10%の再現性を示した。
一般に試料濃度0.15g/15ml以下では沸点上昇(ΔT)の異常現象が見られた。高分子量物質の測定は希薄溶液で行なうことが望まれる。しかしながら,低濃度異常現象と温度差検出感度,ならびにビリアル係数の問題を考慮し,適当な測定濃度範囲の設定が必要であった。

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