1966 年 69 巻 9 号 p. 1771-1775
結晶性ポリマーの融解,およびガラス転移現象におけるサーモグラムの異常性を走査型差動熱量計(DSC)により測定した。試料はポリエチレン,6-ナイロン,ポリエチレンテレフタレート(PET),ポリプロピレンなどを扱った。
従来,分枝の多いポリマー,共重合体,ブレンド物などの均質度の低いポリマーなどにおいて,とくに認められた融解におけるサーモグラムの多重化が,均質度の高い直鎖状のポリマーにおいても,わずか1分間の等温熱処理を異なった温度で加えることにより観測することができた。6-ナイロン,PETのガラス転移におけるサーモグラムの吸熱異常ピークの変化を,きわめて精度よい温度制御下におくことにより,確認することができ,その際の吸熱量を求めることが可能となった。
DSCによる精度の高い転移現象の観測は,ポリマーの熱加工履歴の研究に有効なものである。
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