工業化学雑誌
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石炭類の水溶液吸着特性
浦野 紘平清浦 雷作
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1970 年 73 巻 9 号 p. 1921-1927

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抄録

亜炭から無煙炭までを含む石炭19種類と低温乾留炭2種類,浩性炭1種類について,酢酸,ヨウ素,フェノール,メチレンブルー, シアン化カリウム, ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの水溶液の平衡吸着量と, 前4 者の水溶液のかくはん槽での吸着速度を30℃ で測定し,炭化度や細孔構造などとの関係を検討し,石炭類の吸着剤としての利用と改質の可能性を考察した。
長時間後の吸着量はFreundlich型の吸着等温線で整理された。十分かくはんした場合の吸着初期速度にはBoydらの粒子内拡散律速の式が適合し,求められた粒内拡散係数の濃度による変化は小さく,粒子内拡散には細孔拡散より表面拡散の寄与が大きいことが認められた。石炭類の平衡吸着量と粒内拡散係数は一般に低炭化度炭ほど大きく,また,低温乾留炭とは大差ないが,活性炭より小さかった。それらの差は第2報に示した細孔構造と相関性があり,また吸着質分子が大きい場合に明確であった。
低炭化度炭はそのまま浄水などに吸着剤として利用できる可能性があり,また細孔構造を変えることによって,石炭類の吸着能力を向上させることもできると考えられた。

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