工業化学雑誌
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アニオン界面活性剤水溶液中における天然および合成繊維のζポテンシャルと表面吸着量
岩垂 芳男佐々木 雅彦須沢 利郎
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1970 年 73 巻 9 号 p. 1927-1931

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抄録

繊維へのアニオン界面活性剤の表面吸着性を研究するために,ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)水溶液中における天然および合成繊維のζポテンシャルを測定し,これより繊維表面の単位面積当りの活性剤の表面吸着量を求めた。繊維のζポテンシャルはすべて負であり,この値はCMC以下では活性剤濃度の増加とともに急激に変化したが,CMC以上では大体一定となった。さらに濃度が増すとζポテンシャルは再び変化し極小ないし屈曲をへたのち再び大体一定となった。
CMC以上での活性剤の表面吸着量を算出するために,つぎのような4とおりの仮定をもうけた。すなわち,(I)SDSは1-1強電解質であり,全濃度にわたって完全に解離し,単一イオンとして存在する。(II)SDS水溶液の活動度はCMC以上では一定である。(III)CMC以上のSDS単一イオン濃度は電気伝導度の測定値から得られるそれに等しい。(IV)CMC以上ではミセルと単一イオンが平衡関係にあり,単一イオン濃度はCMCに等しく,残りはミセル(解離度0.168)として存在する。
その結果,えられた表面吸着量はいずれの場合も(I)>(III)>(IV)>(II)の順となり,また同じ計算方法では濃度に無関係に,パイレン>6-ナイロン>カシミロン>ガラス>ビニロン>木綿の順となった

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