工業化学雑誌
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放電法による繊維状ホウ化ジルコニウムの成長
杉山 幸三高橋 武彦
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1970 年 73 巻 9 号 p. 1959-1963

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抄録

二ホウ化ジルコニウム繊維を四塩化ジルコニウム, 三塩化ホウ素, 水素およびアルゴン混合ガスから成長させる条件について検討した。放電電流および交流周波数はそれぞれ0.2~5mAおよび20~400Hzとした。繊維の成長に伴ない,極間距離が一定となるように調節した。成長速度は主として放電電流に関係し, 0.5~1.0mAのとき成長速度は最大となり, 繊維の直径は最小となった。これにつぐ因子は雰囲気温度であって,成長速度の最大は400~500℃ の間で得られた。混合ガス中のアルゴン濃度が高いほど,成長速度も大きくなったが,四塩化ジルコニウム濃度については0.6%のとき最高速度を示した。さらに三塩化ホウ素濃度が増大するにしたがって成長速度も徐々に上昇した。X線回折によって,成長した繊維の構造はニホウ化ジルコニウムと同定されたが,この場合(001)回折強度は比較的弱かった。断面の顕微鏡観察から繊維の成長は溶融状態の中心部の形成と,それに続く半径方向への成長との二段階で起ることが推定された。両対数目盛で繊維の直径と張力とをプロットした曲線は直線関係を示し,直径9μ のとき最高の強度210kg/mm2に達した。

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