1970 年 73 巻 9 号 p. 1990-1993
ベンジルグリニャール試薬とアルデヒド類の反応を溶媒を変えて詳細に検討した。ホルムアルデヒドとの反応はo-トリルカルビノール[I]を定量的に生成する。アセトアルデヒド,プロピオンアルデヒドおよびiso-ブチルアルデヒドはホルムアルデヒドの場合とことなりo-トリル体[I]を生成し難く,正常生成物[II]とdiol体[III]の混合物を生成する。[III]の生成しやすさはCH3CHO>PrCHO>iso-BuCHO>C6H5CHOの順で,立体障害によるものと考えられる。溶媒効果については塩基性溶媒程異常生成物を生成し難く,金属の影響についてはC-Li>C-Mg>C-Alの順にイオン結合性の大きいもの程異常生成物を生成し難い。この結果からSiegelらの示したキレート説は支持できると考えられる。
この記事は最新の被引用情報を取得できません。