工業化学雑誌
Online ISSN : 2185-0860
Print ISSN : 0023-2734
ISSN-L : 0023-2734
シアン化ベンジル誘導体の連鎖移動反応におよぼす置換基効果
太田 忠甫増田 精造
著者情報
ジャーナル フリー

1970 年 73 巻 9 号 p. 2020-2023

詳細
抄録

パラ置換シアン化ベンジル存在下においてアゾビスイソブチロニトリルを開始剤として60℃でスチレンおよびメタクリル酸メチルの重合を行ない,パラ置換シアン化ベンジルの連鎖移動定数を決定した。スチレンおよびメタクリル酸メチルの重合において,置換シアン化ベンジルの連鎖移動定数はハメット式(logCx/CH=ρσ)にはしたがわず,改良ハメット式(logCx/CH=ρσ+γER)に対して直線関係が得られ,スチレンの場合はρ=0.24,γ=1.O,メタクリル酸メチルの場合はρ=-1.0,γ=0.8が得られることから,置換シアン化ベンジルの連鎖移動反応性に対してはシアン化ベンジルの置換基の極性と共鳴の両因子が寄与していると考えられる。
連鎖移動定数の値から,メスロビアンの式にしたがって置換シアン化ベンジルのQtr,etrを計算した。メスロビアンのetrとハメットのσとの間には直線関係が成立する。

著者関連情報

この記事は最新の被引用情報を取得できません。

© 社団法人 日本化学会
前の記事 次の記事
feedback
Top