工業化学雑誌
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アリルアミン誘導体の重合性
土田 英俊伴野 亟計佐野 秀雄
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1970 年 73 巻 9 号 p. 2024-2030

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抄録

アリルアミン誘導体のラジカル重合性では,第二および第三アミンの窒素原子上の孤立電子対がラジカルと錯形成し易いため,α水素原子の引き抜きを助けること,および生成するアリルラジカルと共役して退化性を増すことを確認した。また,アンモニウム塩として窒素原子の孤立電子対を固定すると,アリルラジカルとの共役が切断され,α炭素原子のクーロン積分の増大から,退化性の減ずることを確認した。特に,ヨウ化ジアリルベンジルメチルアンモニウム塩(DABA-MeI)の重合速度Rは,Rp(MeOH中の重合速度)=kMeOH[AIBN]0.51-0.61×[DABA-MeI]1.48およびRp(CH3COCH3中の重合速度)=kCH3COCH3[AIBN]0.70×[DABA-MeI]1.30と表わされることから,ジアリルモノマーとしての特性,すなわち,環化重合体を与えることや,退化的連鎖移動の生起することを確認した。
DABA-MeI(M2)とアクリロニトリル(M1)との共重合ではモノマー反応性比としてγ1=5.93,γ2=0.098を得,Q,e値はそれぞれQ2=O.058,e2=+0.47と計算された。従って,DABA-MeIはジアリルフタレートやアリルアルコールなどのアリルモノマーと同程度の共重合性を有することが明らかにされた。

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